無名ファイル1

Part3.囲む食卓


蛍がやっと口を開いたのは、

二人が部屋を出て10分後だった。

「スゥーッ…ハァ…眠い。」

やっと口を開いたかと思えば、

一言目がそれかい!!と思いつつ、

ずっと眠そうだったなと思った。

「お疲れ様。」

「着物…似合ってるな。」

そっか…すぐに放送が始まって、

褒めてもらってなかったな…。

「あ、ありがと!」

むしろバタバタして忘れてた。

流石アイドルだ…。

「魅香さん、お待たせしました!
着替えのお手伝いします!!」

「はっ、華美ちゃん!ありがと!」

私は華美ちゃんに連れられて、

三時間着ていた着物を脱いだ。

「わ、なんか解放感が凄い」

「ふふっ、慣れないとそうですよね!
三時間もお疲れさまでした!!
体調など異変はありませんか?」

もう気遣いが本当にプロだ…。

「大丈夫、ありがと!!」

「魅香さん、明日の朝おせちや、
お雑煮を一緒に食べませんか?
今晩はうちに泊まっていきませんか?
今から帰るのは危ないですし。」

ねっ?と小首を傾げる華美ちゃん。

う”っ、小動物みたいで可愛いっ!!

「いいの?家族の時間なのに…」

「勿論です!!」
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