無名ファイル1
普段はこんなに苦しくなるほど、
ご飯を食べる事なんてないのに。
居心地の良さと料理の美味しさで、
思わず食べ過ぎてしまった…。
「とても美味しかったです。
本当にご馳走様でした!」
「お粗末様でした。」
蛍のお母さんは満足そうに笑って、
食器の片づけを始めた…。
「あ!私も片付け手伝います!」
私が台所の方へ行くと蛍のお母さんは、
優しく笑ってやんわりと断った。
「華美、着付けをしてさしあげて。」
「はい、魅香さん振袖着ますよ!」
私は華やかな振袖に身を包んだ。
赤を基調とした女の子らしい柄…。
狐のお面をしないからメイクも、
赤い着物にあるように赤い紅をつけた。
「うん、とても素敵です…!!
今日は恋をする女の子って感じで、
とても可愛らしいです!」
「華美ちゃん、本当にありがとう!」
華美ちゃんは少し俯いて笑った。
「魅香さんのおかげでお兄ちゃんが、
また着物を好きになってくれました。
こちらこそありがとうございます!」
私のおかげ…ってどういう…?
「もうこんな時間!!魅香さん、
お土産話…楽しみにしています。
いってらっしゃい!」