無名ファイル1

Part4.参拝者の列と昔話


「外は結構寒いな。大丈夫か?」

「うん!日差しが温かいから平気」

そんなことよりも!!私聞いてない!

「蛍も今日は着物着てるんだね…」

「…変か?」

そ、そそそんなわけないじゃん!?

むしろ格好良すぎて…直視できない!!

「ううん、格好良いよ…でも、
堂々と人が沢山いる所に行って、
バレないで帰れるかな…。」

「大丈夫、誰も人の顔には興味ない。
変に狐の面を被ろうとする方が、
目立つんだよ。堂々と歩いとけ。」

うっ、さっき狐の面をで照れた顔を、

隠したこと…ちょっと根に持ってる!

「蛍は…本当に格好良いね」

「…急にどうした?」

急じゃないよ、ずっと思ってたもん。

「最初に出会った時は可愛くて、
こんなに着物が似合う子って、
世の中にいるんだって思った…。
でも今はこんなに格好良く着物を、
着こなす人を初めて見たって思ってる。
男物、女物、どちらの着物も、
両方私史上、最も似合うのは蛍。
さっき華美ちゃんが私のおかげで蛍が、
”また”着物を好きになってくれたって、
言ってたのが少し気になったの…」

「ふーん、なんで?」

蛍はこちらを見ずに聞き返した。
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