無名ファイル1
『カランコローン』
「…っ、いらっしゃいませ!」
先程まで毒を吐き散らかしていた霧島君。
他のお客さんが入ってきた瞬間、
王子様スマイルで歓迎する…胡散臭さは、
全くなく…生粋の王子様のオーラ。
スマイルに煌びやかな金髪がよく映える。
客は二人組の若い女性ですぐに、
"Devilish Kiss."の存在に気づいた…。
「あっ、お会計お願いします!」
店を出たあたし達。行く宛もなく、
桜並木の一本道をもくもくと歩く…。
もうすっかり桜は散ってしまって、
青々としていた。
「どこへ向かって歩いてるんだ?」
「…決めてないけど、家来る?」
あっ…ちが、だからアイドル!!!
誰かが見てたら大スクープだって!!
「ごめ、考えなしだったね、別のー」
「良いのか!少し気にしていたんだ。
もし再会しても俺が…男だと知ったら、
良く…思われないかと思って…。」
あたしは思わず少し黙り込んだ。
「…じゃあ、行こっか!」
可愛い…おずおずと自分の気持ちを、
言葉にする蛍に胸を撃ち抜かれる…。
あたしは少しほっこりした気持ちで、
家までの道を彼と歩いた。