無名ファイル1

「さ、到着。どうぞ?」

そこは趣のある日本家屋。

いかにも由緒正しき家系の家って感じ。

「お邪魔いたします」

私は少し緊張しつつ、靴を揃える。

「真面目だなぁ…。」

蛍は緊張でカチカチな私を尻目に、

クスクスと笑い始めた…。

「母親がマナーは厳しかったから。
ほら、私こんな見た目じゃん?
第一印象はいつも最悪なんだー!」

特に日本はね!母親には感謝してる。

私が馬鹿だと笑われないのは、

母親が厳しい指導のおかげだから。

「見た目が美しいと印象が悪いのか?」

「ほぇ?」

階段を下りる私の時が一瞬止まった。

美しいとか…初めて言われたんだけど。

「違うよ、髪色が奇抜でしょう?」

「…そうか?綺麗だとは思う。」

あまりにも優しい視線にドキッと、

心臓が跳ねる…。私は誤魔化すように、

そんなことないよー!と笑い飛ばした。

「そういえば、どこへ向かってるの?」

階段は暗くてとても静か…。

「地下。お前を監禁しようと…」

「はぃ!?」

私のヘンテコな声が階段に響く。

手をついたコンクリートの壁が冷たい。

蛍が分厚い扉の前で微笑を浮かべた…。
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