僕ときみの、ありふれた恋
チャイムがなると、立川くんは徐に立ち上がって、教室に向かって歩き出した。



そして、階段のところで何故か方向転換した。



どこに行くか尋ねたけれど、秘密、と言われてすぐにどこかに行ってしまった。



首を捻りながら教室に戻ると、いーちゃんこと千輝依緒梨【ちきら いおり】ちゃんから心配された。



「若菜、どこにいたの?」



「えへへ。ちょっと体調悪くて、保健室行ってたの。」



笑って誤魔化すと、腑に落ちない顔で頷かれた。



いーちゃん、やっぱり鋭い。



と、どこかから罵声のような声が聞こえてきて、クラスがシンとなる。



みんなが不安そうな表情の中、沼丘くんだけは、面倒くさそうな表情で教室を出ていった。


< 21 / 127 >

この作品をシェア

pagetop