僕ときみの、ありふれた恋
「・・・びっくりした」



「大丈夫?手とか掴まれたりしてない?」



「・・・肩を触られた。気持ち悪い・・・」



顔色が悪くなって、座り込んだ宇崎さんの前にしゃがんで、優しく話しかける。



「・・・宇崎さん、ひとまずみんなのところに戻ろうよ。立てる?」



「うん・・・」



僕が差し出した手に掴まって、ゆっくりと立ち上がった宇崎さんの手が小刻みに震えていて、僕はその手をギュッと握った。



「宇崎さん、大丈夫だよ。僕がついてる!」



そう言って穏やかに微笑んでみせると、宇崎さんも笑ってくれた。



僕はその握った手を離さずに、宇崎さんのペースに合わせて歩き出した。
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