僕ときみの、ありふれた恋
「た、立川くん!手!」
「まだ震えてるじゃん。こうした方が安心できるでしょ?」
手を繋いでいる状態が恥ずかしいのか、顔を赤くして俯いた宇崎さんがかわいくて、僕は握っている手とは反対の手を宇崎さんの頭に持っていった。
「た、立川くん!!恥ずかしいよ・・・」
「でもさ、もう怖くないでしょ?」
「え、あ・・・うん」
半分くらいは僕がしたくてしたんだけど、もう半分は宇崎さんの恐怖心を取り払うためにした。
作戦は上手くいったみたいだ。
笑顔も見られたし、震えも止まった。
小さな声で、ありがとう、と言う宇崎さんに、どういたしましてと返した。