極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「澪音さんは私に、父にあやまりたいと言っていました。
幼かったとはいえ、酷いことを言ってしまった、あやまれるのならあやまりたい、と」

いつのまにか戻ってきていた古渡さんが、指先で目尻に溜まる涙を拭ってくれる。
レンズの奥で目尻を下げ、にこっと笑って顔を見られれば、気持ちは落ち着いていた。

「……私は父さんを恨んだりしてないよ。
大学生活はそれなりに得るものがあったし、パティシエはいま頑張ってるから、きっとどうにかなる。
父さんには苦労ばかりかけたから、幸せになってほしいだけで」

駆け落ち同然で結婚したから他に頼る人がなく、ひとりで泣きたいもの我慢して育ててくれた父には感謝しかない。
なのになんで、私はちゃんと伝えられないんだろう。

「それに私は、美代子さんが嫌いだとか認められないとか思ってない。
あの人ならきっと、父さんを幸せにしてくれると思ったから、家を出ただけで」

「……お前はいつのまにか、立派な大人になっていたんだな」

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