極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「旦那様は用があるからと、朝早くに家をお出になりました」

「そう……」

そんなに私の顔が見たくないのだと、あたまがぐらぐらした。

今日も仕事だから店に向かう。
しかし。

「……おん。
……澪音!」

「え?」

声をかけられていることにようやく気づき、顔を上げる。
そこには眉間に深い皺を刻み、厳しい顔をした白井さんが見えた。

「手が止まっているだけならまだしも、なにをやっているんだ、それは?」

おそるおそる、自分の手元へ目を向ける。
そこにはジャムをのせる行程を飛ばし、しかも雑に苺ムースが絞られたケーキが並んでいた。

「す、すみません!」

「やる気がないなら、帰れ」

悔しくて唇を噛みしめる。
古渡さんのことが気にかかり、集中力を欠いてこんなことをしてしまうなんて情けない。
私を見る、裕一郎さんの目も冷たかった。

「すみません、少し外しますが許してください」

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