極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
白井さんにあたまを下げ、厨房を飛び出る。
事務所でひとりになり、思いっきり両手で頬を叩いた。

「集中、しなきゃ。
こんなことでくよくよ悩んで捕らわれてちゃ、ダメ」

いまここで、こんなことをやっていてはダメだ。
こんなんじゃ絶対、フランスへ行ったら通じない。

「いまはなにも考えない。
仕事に集中」

もう一度、頬を叩いて気合いを入れ、厨房へ戻る。

「すみませんでした。
以後、気をつけます」

再び白井さんに詫びを入れ、作業を再開した。

「次、やったら本当に、帰ってもらうからな」

「はい、気をつけます」

私の赤くなった頬にはなにも言わず、白井さんは作業を続けている。
ここではそれが当たり前、甘えなど許されない。
いまは仕事が優先、それ以外は考えない。
それがたとえ、古渡さんのことでも。

いつも以上に集中してやっていたせいか夕方には疲労が酷く、今日は早上がりさせてもらった。

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