極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
伝えなかった方が後悔する。

「……好き」

ゆっくりと彼が振り返る。
おそるおそる見上げた顔は、みるみるうちに泣きだしそうに歪んでいった。

「古渡さんを愛しています。
でも、たくさんの中のひとりは、嫌」

「……澪音」

そっと、彼の腕が私を抱き締める。
とくん、とくん、と不安げなその心臓の鼓動の音が、私の胸を締め付ける。

「澪音だけを愛していると何度も伝えただろ?
どうやったら澪音はわかってくれるんだ?」

「誓ってください、私以外の女性になんて目もくれない、って。
そして私を貴方で縛って。
貴方で縛って、私だけを見て」

視線の先、レンズの向こうの瞳は濡れていた。
彼の手が壊れ物にでも触れるかのように慎重に、私の頬に触れる。

「俺の目にはもう、澪音しか見えない。
誓うから、フランスへは行かないでくれ」

彼が身を屈め、唇が重なる。

「……これは契約違反、か」

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