好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった
少しだけ睨んでエレベーターを降りる。



「聞こえるようになった?」



俺の後に降りた藤枝の真地目な声色が廊下に響く。
教室の中からピアノの音がかすかに聞こえてくる。



『・・・質問は1つじゃなかったのかよ。』



俺は振り向かなかった。
きっと珍しく真剣な表情をしている藤枝の顔は見れなかった。



気づかないふりをして教室に足を踏み入れた。



エレベーターの前で足を止めた藤枝が「1つだけとは言ってないよ。」って呟いていたことなんて知らなかった。
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