大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「そういえば、昼食のときに一ノ瀬さんが愛妻弁当だって?ってニタニタしながら俺の弁当を見に来たんだよ」
「まあ」


副社長が? 経理部で話をしたからかしら。


「だから、いいでしょうと自慢しておいた」

「やめてください。お弁当作り、もっと頑張らないと」

「もう十分だよ。いつもおいしい弁当をありがとう」


彼は私の腰を抱いて引き寄せると、こめかみに唇を押しつける。

こうしたことも普段はあまりされないので少し驚きつつも、胸に喜びが広がった。

大丈夫。私は愛されている。


「あっ、ごめん。つい」
「い、いえっ」


照れくさくて目もあわせられない。
夫婦なのにおかしいだろうか。


「あっ、あのっ。そういえば経理部で三谷商店の話が出たのですが……」

「あぁ、動きがあったから報告しないとと思ってた。食べながら話そうか。浴衣を出して」

「はい」


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