大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】

私には経理以外の仕事はよくわからないけれど、今回の三谷商店の新しい船出が大きな事業なのは伝わってくるので、彼が背負っているものの大きさはわかっているつもりだ。

けれど、お母さまが殿方の勝負時には『女は旦那さまを信じて待てばいい』とおっしゃっていた。


「敏正さんならきっと大丈夫です」


私は自分から彼の胸に飛び込み、しがみつく。


「そうか。郁子が信じてくれるなら百人力だ」


彼は私を強く抱きしめ、そのまま眠りについた。



それから敏正さんは、今までとは比べ物にならないほど忙しくなった。


「三谷商店、動きだしたみたいだね。さらに何人か社員を出向させるらしいよ」


出勤して経理部の扉を開けようとすると、三谷商店の話が聞こえてきて足を止めた。
この声は橋田さんだ。


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