大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
落成式を目前に、なにを怒るようなことがあるのだろう。


「明日のビルヂングのお披露目をすごく楽しみにしていて、お金もないのに背広を新調するくらい張り切っていたの。だから、急に荒れだしたのがどうしてなのか、私にも見当がつかない。聞こうにも、近づくのも恐ろしくて」

「そう……」


一体なにがあったのかしら。

仕事は順調なはず。
それなら、私生活? 

でも、まるで心当たりがない。


「お父さまはお仕事かしら」
「多分。学校からそのまま来たからわからないわ」
「泰子、よく教えてくれたわね。私がなんとかするから心配しないで」


私まで取り乱しては泰子は余計に不安になると思い、笑顔で励ます。


「ごめんなさい。お姉さまはお嫁に行ったんだから頼ってはいけないと思ったのだけど、どうしたらいいのかわからなくて」


震える泰子を見て心が痛んだ。

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