大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「妹の泰子です」
紹介がまだだったと、春江さんに伝える。
「妹さんでしたか。ご学友かと。そういえば、口元が似ていらっしゃる」
「そう? 泰子、こちらはお世話になっている女中の春江さん。とっても料理がお上手なの」
泰子はちょこんと頭を下げるが、目がうつろだ。
「うれしいですわ。郁子さま、私は少し買い物に出ますので、ごゆっくりなさってください」
「ありがとう。そうします」
春江さんが玄関を出ていく音がすると、泰子はようやく顔を上げた。
「お姉さま」
「ねぇ、なにがあったの? まさかまた借金――」
「違うの」
最悪の事態を想定して顔が引きつったものの、即座に否定されて安堵の胸を撫で下ろす。
「借金ではないのだけど……昨日からお父さまが怒り狂われていて。貫一は怖くて泣きだすありさまで」
「お父さまが? どうして?」
紹介がまだだったと、春江さんに伝える。
「妹さんでしたか。ご学友かと。そういえば、口元が似ていらっしゃる」
「そう? 泰子、こちらはお世話になっている女中の春江さん。とっても料理がお上手なの」
泰子はちょこんと頭を下げるが、目がうつろだ。
「うれしいですわ。郁子さま、私は少し買い物に出ますので、ごゆっくりなさってください」
「ありがとう。そうします」
春江さんが玄関を出ていく音がすると、泰子はようやく顔を上げた。
「お姉さま」
「ねぇ、なにがあったの? まさかまた借金――」
「違うの」
最悪の事態を想定して顔が引きつったものの、即座に否定されて安堵の胸を撫で下ろす。
「借金ではないのだけど……昨日からお父さまが怒り狂われていて。貫一は怖くて泣きだすありさまで」
「お父さまが? どうして?」