大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「それならなおさらいいじゃない。カステラ食べなさい。食べ終わったら私も三谷の家に行くから」

「本当に?」


泰子がはぁーと大きく息を吐き出し、ようやく笑顔を見せた。
よほど不安だったに違いない。


「うん。貫一も心配だし」


泰子より帰宅は早いはず。
女中がいるし、父も仕事なら問題ないとは思うけど。


泰子がカステラを食べ終わると、貫一の分は包み、春江さんに【実家に行ってきます】と書き置きを残して家を出た。



久しぶりの三谷家は懐かしさもあるが、父の怒りの原因がわからないので少し緊張していた。

玄関を入るとすぐに女中が出てきて目を丸くする。


「郁子さま! お帰りなさいませ」
「お久しぶりね」
「姉さま?」


女中の声が聞こえたのか、二階からドンドンと大きな足音を立てながら貫一が下りてくる。

そして、遠慮なしに胸に飛び込んできたのでよろけそうになった。


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