大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「発行株式の半数以上の株を私が買い占めました。郁子の名義で」


私が株を持っているというのは、本当だったの?

驚愕して敏正さんを見上げると、彼は私を見つめてうなずく。


「私は、三谷商店の商売を軌道に乗せるという仕事を終えました。これから次第ではありますが、日本を代表するような商社になると確信しています。今後の三谷商事は郁子に任せます」

「私?」


思わず口を挟んでしまった。
会社のことなどなにもわからないのに、できるはずがない。


「あぁ。三谷商店は三谷家のものだ。俺は三谷商店が欲しかったわけではない。俺には津田紡績を守るという責任があるしね」


彼は私を見つめて、優しく微笑む。

私は自分の想像が間違っていたとはっきりわかり、安堵のあまり腰が抜けそうだった。


しかし、父以上に商売がわからないのに、三谷商店の今後を任せると言われても戸惑いしかない。


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