大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「当面必要な生活費は毎月必要な分だけお渡しする。厳しいが、お父上には見栄を張った贅沢な暮らしというものをあきらめていただこうと思っている」

「はい。もちろんです」

「その代わり、妹と弟の学費は孝義さんが責任をもってそれぞれの学校に納入してくれる。お父上が使ってしまわれないように」


なんてすばらしい案なの?

父の言うことは絶対なので、津田家から五千圓補填してもらえたとしても、父があのうさん臭い男の口車に乗せられたらそれで終わりだった。

敏正さんが危惧するように、生活費までつぎ込んでしまうだろう。

それすら予測して先手を打つ敏正さんの頭の回転の速さを感じる。


津田紡績の跡取りにふさわしいか試されているというのは、こうした判断力や行動力についてなのかもしれない。


「重ね重ね、ありがとうございます」


< 61 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop