Dear boy,Dear girl~ワケあり男子と秘密の同居生活~
けれど、わたしたちは大丈夫だと思っている。
絶対揺るがない絆があるって…。

「あ、華菜ちゃん。こんなとこいたの?直登探してたけど。」

「うん。ちょっとね。思い出にひたってたの。」

校舎のほうから高柳くんが走ってきた。

「まぁね。わかるけどさ。遠距離なんて選んじゃうから。」

「うん。けど、直登のやりたいことだし。わたしもこっちにいたかったから。」

わたしがこっちの大学を選んだ理由。
それは、お父さんをひとりにしたくないからってことだけなんだけど…。

けど、それはとっても重要なことなのだ。

なんだかんだ、直登のおかげでお母さんが死んだっていうショックを克服できてしまったわたしとちがって、実のところ一番ショックを受けているのはお父さんだったりすることに最近気づいた。

ひとりにするのはやっぱり…いやだし。

直登もそのことはわかってくれて、それでも

「俺たちの絆がなくなるわけないじゃん。」

って笑って言ってくれた。

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