囚われのお姫様
わあ、王子様だ……。


真っ赤な炎の中からでもわかる。

スラリと長い手足に作り物のように整った顔。

それにしてはあまり高くない背丈。でもそれがまたギャップできゅんとした。

超絶イケメンだ……!!

いつかの少女漫画で見た、ヒロインのピンチに駆けつけてくれる王子様のようだ。

くせっ毛の長い前髪から覗く右目は炎で照らされぎらりと光りこちらを見ていた。

──え?

その男は今私を見て、ニタァと笑ったのだ。


「美波ちゃん、お待たせ。迎えに来たよ」


迎え…………?

なんで私の名前を……?

色々疑問は浮かんだが、そんなことより今は命の危機。


「すみません!!逃げ遅れたんです、助けてください!!」


喉の奥そこから叫んだ。

男はさらにニタァと笑い、燃え盛る炎を諸共せず私の元へきた。


「え、え?? 熱くないんですか?」

「熱いけど、そんなのどうだっていい。美波ちゃん、ずっと会いたかったよ」


男はそう言い、私に手を差し出してきた。


「さあ、10年前の約束を果たそう」


そして、視界がぐらっと回る。

これって……お姫様抱っこ?!

男は校舎の外へ走り出した。

これが……運命の王子様のお迎え……!!
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