囚われのお姫様
──ピピピピ、ピピピピ
「……んん」
ゆっくりと、重いまぶたを開けていく。
まぶたの隙間から朝日と部屋の電気の混ざった眩しい光が差し込む。
「う、まぶし……」
「いつまで寝てるの?そろそろ起きないと遅刻するよ」
どこからか、お母さんのようなことを言ってくる声がする。
もちろんお母さんではない。
なぜならここは、学校の寮だから。
この学園──日比谷学園(ひびやがくえん)は全寮制の小中高大一貫校なのだ。
あれ、てことは……。
「えええええ夢えええええ?!?!」
「うわ、なに急にびっくりした……」
そう言い、ベッドから立ち退いたのはルームメイト 兼 親友の三ノ輪 ユキ(みのわ ゆき)。
なんで私と一緒に居てくれるのかわからないくらいの美少女だ。
「ついにね!! 私にも運命の王子様が!!」
「はあ……またその話?」
「今回は違う!! 夢でね、火事になった学園から王子様が救い出してくれたの……!」
「いや、夢じゃん」