五年越しの、君にキス。
車を長く止めておけないと言っていた後藤さんは、その言葉通り、すぐに運転席に乗り込んで私に会釈をしながら車を発進させてしまう。
各所で明かりが灯り始めた夜のストリートにひとりで取り残された私は、困ってあたりを見回した。
後藤さんは正面の店で伊祥が待っていると言っていたけれど……
店の入り口は通りよりも少し高い位置にあり、黒色の枠で縁取られた店のドアまでは半円形のなだらかな階段が延びている。
金色のノブが付いた店のドアは見るからに重厚感があって、なんとなく前に進みづらい。
本当にこの店に入るの……?
外から見る限り、高級ブティックみたいだけど。いったい、何の目的でここに……?
ていうか、伊祥は本当にこの店の中にいるの?
困って立ち尽くしていると、不意にブティックのドアが内側から開いて、伊祥が姿を現した。