無気力な幼なじみと同居したら、予想外の溺愛がはじまりました❤︎
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「楓莉、帰ろ」
「あ、えと、うん」
「うん」
放課後。
一緒に帰るのは昔から当たり前に行われてきたもので、お互いバイトや予定がないときは約束せずともともに帰路についていた。
だからこそ、こうやって「帰ろ」とちゃんと誘われたのはあまりにも新鮮で、なぜか胸がきゅんと鳴った。
「あ。有村さんばいばい。成水も」
身支度を整えて席を立つと、吉川くんにそう言われた。軽く手を振ってくれたので、同じように振り返すと、彼はふっと小さく微笑んだ。
吉川くんの瞳が、「仲直りできてよかったね」と言っているように見えて、すこしだけ恥ずかしくなった。