キミだけのヒーロー
ちぃちゃんはオレと目が合うとハッとしたような顔をして、お茶を入れに準備室の方へ行ってしまった。



壁にもたれかかって、そのままズルズルと床に座り込んだ。

両足を折り曲げ手で抱え込み、そこに顔を沈めた。

汗のしずくが髪からポタリと落ちる。


なんか疲れたな……。

ここんとこ、サユリや北野典子の件があって、よく眠れない日々が続いているせいかもしれない。




「はい。どうぞ。お疲れ様」


ちぃちゃんの声が聞こえたかと思ったら、オレの頬にピタッと冷たい物が当たった。

落ち込んでるオレに絶妙なタイミングでちぃちゃんがお茶を持って来てくれた。


すげー、心地良い。


――サンキュ


心の中でつぶやくと、顔を上げて、麦茶の入ったコップを受け取った。
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