キミだけのヒーロー
センターフォワード
「次……フォワード……谷口、山野……それから……」


校庭のポプラが黄色に色づき始めた頃。


秋になり三年生が引退したサッカー部では、新レギュラーの発表が今まさに行われていた。

うちのチームは3トップ。

フォワードは残すところ後一人だ。

オレは体を固くして、先生の次の言葉を待った。



「……日下部」


一瞬聴き間違えじゃないのかって思ったぐらい信じられなかった。


「ハ……ハイ!」


思わず立ち上がり、大声で返事をしてしまった。

途端にみんなが笑い出す。


飛び上がりそうなぐらいうれしかった。

これが夢でないなら、笑われるぐらいどうってことないよ。


ちなみに、オレのポジションはセンターフォワード。

言わずと知れた、得点が求められるポジションだ。

当然見せ場も多いし、注目度ナンバーワン。

一方、シィは確かにオレより早くレギュラー入りしたけど、

ヤツのポジションはディフェンダーだ。

シュートを打つなんてまずない。

そんなわけで、オレはこのポジションにちょっとだけ優越感があった。
(つか、ちっせ! オレ)
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