キミだけのヒーロー
その翌日。
「ねぇ、このタオル……ケンジの?」
母親が不思議そうな顔をしながらタオルを差し出す。
昨日ユニフォームと一緒に洗濯籠に入れておいたのを洗ってくれたらしい。
オレはタオルを受け取って自分の部屋に行った。
ごろんとベッドに横になり、タオルを眺める。
表には小さなイチゴの刺繍。
そして裏側のタグには、やはりうっすらとだが、“キリノノリコ”という文字があった。
「キリノ ノリコ……」
オレはポツリと呟いた。
N中との試合は今後もあるかもしれない。
いつか返せたらいいな。
起き上がってベッドから降りると、行き先のなくなったタオルをたたみ、クローゼットの奥にしまい込んだ。
だけどその後、オレが“キリノノリコ”に出会うことはなかった。
そして、季節は移り変わり
いつの間にか“キリノノリコ”のことも、タオルのことも
オレの記憶からは薄れていった。
「ねぇ、このタオル……ケンジの?」
母親が不思議そうな顔をしながらタオルを差し出す。
昨日ユニフォームと一緒に洗濯籠に入れておいたのを洗ってくれたらしい。
オレはタオルを受け取って自分の部屋に行った。
ごろんとベッドに横になり、タオルを眺める。
表には小さなイチゴの刺繍。
そして裏側のタグには、やはりうっすらとだが、“キリノノリコ”という文字があった。
「キリノ ノリコ……」
オレはポツリと呟いた。
N中との試合は今後もあるかもしれない。
いつか返せたらいいな。
起き上がってベッドから降りると、行き先のなくなったタオルをたたみ、クローゼットの奥にしまい込んだ。
だけどその後、オレが“キリノノリコ”に出会うことはなかった。
そして、季節は移り変わり
いつの間にか“キリノノリコ”のことも、タオルのことも
オレの記憶からは薄れていった。