ブルースカイの夢
この空と同じように道って広いものなの?名前も顔もわからない誰かの言葉にそう思いつつも、あたしの心は揺れている。知らない人の言葉に、心を動かされている。

「真奈ちゃん」

優しく声をかけられ、あたしは顔を上げる。鈴先生はゆっくりと言った。

「人間が生まれてきた意味なんてない。だからみんな見つけ出すために歩いていくと思うの。『生きる理由』を……」

「生きる理由……」

そんなもの、わからない。気が付けば生まれていて、大人になっていく。でも大人になっていく中でみんな、自分の夢や未来を描いていくんだろう。自分の足で歩いていくんだ。あたしと違って……。

「先生……」

あたしは変わらず綺麗な青空を見上げ、訊ねる。

「あたしも、自分の足で歩いていっていいのかな?」

鈴先生はすぐに「もちろん!」と返してくれた。そしてあたしと鈴先生は一緒に青空を見続ける。心もモノクロから青空になったような、そんな気が一瞬だけした。

チャイムが鳴り響く。でも、人生という授業はまだ終わらない。むしろここから始まるんだ。

あたしはそう思いながら、微笑んだ。
< 5 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop