ドキドキするだけの恋なんて

それに 私は タケルと会って

離れていた時間を 埋められないことに 気付いた。


学生から 社会人へ。


知らない間に 変化してた 私達。


当たり前だけど…


もう一度 付き合っても あの頃の 2人とは 違う。

あの頃は 満足していたことも

きっと今なら 不満に思って しまうかもしれない。


それなら 良い思い出のまま 汚したくない。


やっぱり私は まだ タケルを 引き摺っている。


「そうだ。星野さんのこと 上原さんが 気に入っているらしいじゃない?」

「はぁ?宇佐美さん どうして そんなこと 知ってるんですか?」


否定しない 私の聞き方は 変だったけど。

宇佐美さんが 知っていることも 不思議だったから。


「実は 私 河田さんと 会っているの。」

「エーッ!? 宇佐美さん 何も 言わないで。ずるい!」


「ずるいってことは ないでしょう…」

宇佐美さんは 恥ずかしそうな笑顔で 私を睨む。


「だって。もっと早く 教えてくださいよ。それなら。」


自分のことには 意気地なしだけど。

他の人の 恋愛話しには 興味津々の私。


「まだ 3回くらいしか 会ってないのよ?河田さんから 告白された訳でも ないし。」

「3回も 会っているなら 付き合っているのと 同じじゃないですか。へぇ… 河田さんねぇ。」


男性側の 幹事だった 河田さんは

明るくて 積極的な感じの人だった。


「ちょっと 止めてよ。私 星野さんより 年上だから。もう 時間がないの。出会いは 大切にしないとね。」


宇佐美さんは 照れた笑顔で 言った。


「この前 河田さんが 星野さんのこと 聞くから。どうして、って 聞いたら 上原さんが 星野さんのこと 気にしてるって 言っていたから。」


「上原さんとは 時々 ラインするけど。それだけですよ?一度も 会ってないし。」

「会いたいって 言われた?」

「いいえ 全然。軽い 世間話し するだけで。会いたいとか 私が 気になるとか そんなこと 全然 言われないし。」

「上原さん 慎重だね。じっくり攻めるタイプなのかな?」


「誤解ですって。私を 気に入っているとか。単なる 暇つぶしですよ きっと。」

「ううん。そうじゃないみたいよ?ねぇ 星野さん。上原さんに 誘われたら 会ってみたら?」


「えー……」

「もしかして すごく相性が いいかもしれないし。逆に タケル君への気持ちを 確認できるかも しれないじゃない?」


「なんか タケルのこと はっきりしないのに。他の人と 会うなんて。二股みたいじゃないですか?」

「別に 会うくらい いいじゃない。どっちとも 付き合っているわけじゃ ないんだから。星野さんって 固いわね。」



「私 器用じゃないから… 好きじゃない人と 食事するのとかも ちょっと 抵抗があって。」


「好きになるために 会うのよ。出会いって そういうものでしょう?好きな人なんて そうそう できないでしょう?学校じゃないんだから。」

「そうなんだけど…」



好きになるために 会うか…


会わないと 始まらないって

以前 芙由子も 言っていたけど。


私 考え過ぎているのかなぁ。







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