ドキドキするだけの恋なんて

ショッピングモールを ゆっくり見て。

東京に 戻りながら。


「あず美 いつまで 休み?」

「あさって。翔真は?」

「俺も。」


帰り道は 名残惜しくて 寂しくて。

スムーズに進む 高速道路さえ 恨めしくて。


付き合うようになって 1ヵ月以上 経つのに。

やっと 恋人らしくなった 私達。


「じゃ どこかで 夕飯 食べて帰ろうか?」


「うん… 翔真 明日は 予定 あるの?」

「んっ? 明日… これ返しに 実家に行く。」


「そっか…」

「あず美も 一緒に 行く?」

「えーっ。翔真の実家は まだちょっと。」


「ハハハッ。あず美は 実家に寄らなくても いいじゃん?近くで 待っててくれれば。俺 車置いたら すぐに戻るからさ。」

「本当? じゃ 翔真 今夜 私の部屋に 泊まる?」


「あーっ。今 そういうこと 言ったら 駄目でしょ!」

「ヤダ。違うって。だから… そういう意味じゃなくて…」


「ハハッ。んっ?どういう意味?」

「もう!翔真と 一緒にいたいなぁ…って。」


「んーんっ。どっちにしても。俺 運転できなく なっちゃうよ。」


「翔真って そういうこと 言う人だったの?」

「あず美こそ…?」


「何か 不思議。」

「何が?」


「だって。私達 一日で 変わってしまったから。」


「あず美は そうかもしれないけど… 俺は もう ずっと前から 変わっていたんだよ?」

「えーっ。嘘だぁ。翔真 いつも 澄ましていたじゃない?」


「それは 精一杯の 見栄。本当は ずっと あず美のこと 抱きたかったの。」


「ちょっと。翔真こそ。そんなこと 言わないで。」


ゆっくり 近付いてきた 翔真は 

こんな時でも 私を 素直に 寛がせて くれた。










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