ドキドキするだけの恋なんて

「良い部屋。あず美 なんで こんなに広い部屋に 住んでるの?」


コインパーキングに 車を停めて。

初めて 私の部屋に 入った 翔真。


「実はここ 大学生に入学した時に 親が買ったの。」

「えーっ。分譲なの?もしかして あず美って お嬢様?」

「お嬢様じゃないけど…父が心配性なの。女の子の一人暮らしだからって。」


「それにしても いきなりマンション買うって。あず美の実家って お金持ちなんだね。」


「そんなことないけど…」


父の会社は 地元では それなりに 有名だけど。

東京で 話題にするほどの ことでもないから。


「お父さん 何してる人?」

「運送会社を やっているの。」

「あず美 社長令嬢じゃない。」


「フフッ。社長令嬢?全然 そんなことないよ!小さな会社だもん。」

「あず美って おっとりしてて。育ちが良さそうって 思ったけど。本当に お嬢様だったんだ。」


「だから〜!お嬢様じゃないって。私 普通に就職して 働いているんだよ?」

「だから いいんじゃない?」

「えっ?」

「普通っぽいところが。」


私は 翔真の言う意味が よくわからなかった。


「翔真の部屋は?どんな感じ?」

気分を変えるように 明るく聞いてみる私。

「俺の部屋は 全然 狭いよ。まぁ 寝るだけだから。十分だけどね。」

翔真は 笑いながら 答えた。


「コーヒー淹れるね。座ってて。あっ そうだ。お風呂 溜めるね。翔真 運転で 疲れたでしょう?」

「んっ?お風呂? 一緒に入るの?」

「ちょっと ヤダ。もう 翔真!」

「ハハハッ。」



やっと 冷房が 効き始めた部屋で。

翔真は 私を 抱き寄せて キスをした。


昨日 ホテルで 抱かれた時よりも

熱く 激しく 私を 抱き締めて。




< 49 / 67 >

この作品をシェア

pagetop