ドキドキするだけの恋なんて

夏休みが 終わって 暫くは 忙しくて。


それでも 私達は 週末は 一緒に過ごした。


翔真と 会えない 平日の夜。

私は 芙由子と 食事をした。


「あず美 上手くいってるみたいね。」

「エッ?うん まぁ」


「フフフッ。否定しないんだぁ?」

「やぁねぇ。フウちゃん。からかわないで。」

「フフッ。いいじゃない。あず美 幸せそうだよ。」


「うん。みんなに 勧められて 旅行して 良かった。」

「あー!大胆発言。」


「エッ?勘違いしないで。変な意味じゃ ないから。」

「本当 あず美って わかりやすいなぁ。でも やっぱり 身体の関係も 大事でしょう?」


「身体の関係って 言うと なんか 露骨だけどね。」

「じゃ あず美好みに 言う?スキンシップとか ぬくもりとか。」


「うん。その方が いい。」


「で?上原さんとは 相性良かったの?」

「だからぁ!そうじゃなくて…私達 元々 相性は 良かったと思うの。でも スキンシップが増えて。ドキドキするように なったから。」


「あず美って 恋人に ドキドキを求める タイプなのね…」

「ハラハラするのは 嫌だけど。少しは ドキドキしたいじゃない?」


「そう?私 もう ドキドキは いいかな。」

「えー?フウちゃん そうなの?」


「疲れちゃうじゃない?ドキドキすると。私 空気みたいな人が いいの。」

「へぇ 意外… 航君って 空気みたいなの?」


「そうよ。存在感ないし。一緒にいても 邪魔にならないし。」

「上原さんも そうよ。タケルは 存在感が 凄かったけど。」


「タケル君から まだ 電話くるの?」

「うん。前よりは 少なくなったけど。私 はっきり 言ったのに。」


「そうなんだ…マズいね。」

「うん。タケル 上原さんと 同じ会社だし。上原さんに 余計なこと 言われたら 嫌だわ。」


「それは ないんじゃない?さすがに。」

「なら いいんだけど…私 どうすればいいと思う?」


「えー?あず美は 断ってるんでしょう?それで いいんじゃない?」



「私 二股してるみたいで すごく 心苦しいの。上原さんにも 悪いし。」


「タケル君のこと 上原さん 知ってるんでしょう?だったら 上原さんに 正直に 言ってみれば?まだ タケル君から 電話が来るって。」


「うん…言っても いいのかな…?」

「黙っていて 後から 知るより いいんじゃない?」

「そうだよねぇ…でも 何か 言いにくくて。」


「相談する感じで 話せば いいんじゃない?あず美は ちゃんと 断っているんだから。」


「でも。上原さんとタケルが 気まずくなるのも 嫌だから…」

「それは 仕方ないでしょう?そんな 全部 丸く納めることなんて 無理なんだから。」


「そうだよねぇ…」



芙由子の言う通り… わかっているけど。


翔真に 気を使っているようで

本当は タケルを 気にしている私。


私の心は 確実に 翔真を向いたから。







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