ドキドキするだけの恋なんて

「わかった… 俺 甘かったなぁ。あず美は いつまでも 俺を 待っていてくれて。俺が 誘えば 喜んで ついて来てくれるって。なんで そんな風に 思ってだんだろう…」


「私も 就職して 大人になったから。それに  上原さんと 一緒にいて わかったの。私が 本当に 必要なのは タケルといた時みたいな ドキドキじゃなくて 穏やかな 時間だって。」


「上原さん 穏やかな人だからなぁ… 最近 仕事も 調子良いし。俺 上原さんが あず美と 上手くいってることに 嫉妬してたのかなぁ。」


「そうよ きっと。私が 他の人と 付き合ったから 急に 惜しくなったんじゃない?」


「そんなことじゃ ないけど…」


「ううん。タケルって そういう性格よ、昔から。負けず嫌いで…」


「俺 全然 成長してないってこと?」


「フフッ。そうじゃなくて… 人の根本って そんなに 変わらないもの。」


「あず美…」


「タケルと 付き合ってた時間は 楽しくて… 良い思い出だから。タケルも 良い人 見つけてね。」


「あず美 良い女になったなぁ…」


「逃した魚は 大きかった?」


「マジで。もう 2度と 釣れないよ。こんな 大きな魚。」


「ありがとう…」


私は やっと 言いたいことを 言えた。


4年間 ずっと 燻っていた思い。


これで やっと 卒業できる。

タケルから……





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