ドキドキするだけの恋なんて

「だから どうして?やり直すのに 遅いなんて ないだろう?」


「私 もう タケルのこと 何とも思ってないから。」


「エッ?」


「タケル 今から やり直して 私達 上手くいくと 思ってるの?」


「上手くいくよ。俺 もう あず美のこと 悲しませたり しないから。」


「フフッ。簡単に言うのね。私 もう あの頃の私じゃないの。」


「俺だって あの頃より 大人になったよ。」


「ねぇ タケル。私達 上手くいってたよね?雅代さんが 現れるまで。私 タケルのこと 大好きだったし。一緒にいると すごく 楽しかった… 雅代さんが どっちを選ぶのって 言った時 タケルは 絶対 私を選ぶって 思ってた。」


「それは 雅代を 宥めて 別れるためだったのに。」


「違うでしょう?タケルは どっちかを 選ぶなんて できないって 言った。どっちも 同じくらい 大切だからって 言ったのよ。」


「俺 そんな事 言った?多分 言葉のあやだよ。」


「もう そんなこと どうでもいいけどね…」


「どうして……」


「私 タケルとの 思い出の場所に 何回も 一人で行って。何日も 泣いて。もう 誰とも 付き合えないって 思ってた。実際 上原さんと会うまで 誰とも 付き合ってなかったし。4年…タケルのこと 吹っ切るまで 4年もかかったの。」


「………」


「辛かったけど。おかげで 自分と 向き合うこともできた。やっと 自分を立て直して… で 気付いたの。タケルが 好きだったのか。タケルと 付き合っていた 時間が 好きだったのか。
あの頃 私達 若かったよね?あのまま 2人一緒に 成長していたら 変わっていたのかなぁ…取り返せないこと 考えても 仕方ないけど。」


「あず美…」


「私 今 落ち着いてて。すごく 幸せだよ。なんでか わかる?上原さんが 私を 支えてくれるから。今の私に 必要な人は タケルじゃなくて 上原さんなの。
私 もう あの頃の私じゃないの…」


「俺じゃ あず美を 幸せには できないのか?」


「そうね… 今の私に 必要な人は タケルじゃなくて 上原さんだから。」


「はっきり 言うんだなぁ…」


「だから もう 私に 構わないで。」


私は 湧き上がる涙を 必死で 堪えた。





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