あなたの左手、 私の右手。
「理由は聞かない。電車での赤名も、今日一日ぶんぶん首を縦に振りながら俺の話を真剣に聞いてくれてるのも見てれば、赤名がどんな奴か分かる。言いたくないことは言わなくていい。」
先輩は不意に私の頭の上に大きな手をのせた。
同時にかがんで私と視線を合わせる。

先輩の瞳に私がうつっている・・・。

「赤名。」
「はい」
「俺たちは運命共同体だ。一緒に仕事をしていくペアでもあり、パートナーでもある。」
「・・・」
「俺は赤名と同じ歩幅で歩けるように努力する。」
「・・・」
「でも、俺は時々周りを忘れて突っ走る癖があるから、そんなときは遠慮なく俺を止めてほしい。」
まっすぐな先輩の瞳。
その瞳を見れば、先輩の人柄もわかる気がした。

この人には嘘がない。まっすぐな人だと。
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