あなたの左手、 私の右手。
「お互いに支え合いながら高め合えるような関係になりたいと思ってる。新人だからとか、先輩だからとか関係ない。遠慮はいらない。」
「・・・」
「今日から頑張ろうな。一緒に。」
「・・・はいっ!」


すぐに返事ができなかったのは、あまりに先輩の瞳が真剣で、まっすぐで、きれいに澄んでいたから。

少しの間、息が止まったような感覚を覚えながら、私は必死に先輩に返事を返した。

先輩は返事を返した私の頭の上に置いている手をポンポンと撫でながら、笑う。


「お前、本当にちっさいな。」
と少し悪口を言いながらも、その瞳はどこまでも優しかった。
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