翠玉の監察医 癒えない時間
星夜まで失ったしまった、そのことに蘭は涙をこぼし崩れ落ちる。様々な感情が心に一気に押し寄せていく。周りを見れば自分が殺した男たちの遺体と、男たちに命を奪われた監察医の遺体が転がっていた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

蘭は大声で叫び、また涙をこぼす。失わないようにと強くなった。しかし、結局は誰も守れなかった。何故こんな自分だけが生き残っているのか、理解したくもない。

チャキ、と銃を構える音がする。蘭の背後からだ。蘭は虚ろな目で振り返る。もう生きることなんてどうでもいい、そう思っていたが目の前にいる人物を見て、蘭はその目を見開いた。

「何故……何故……あなたが……!」

その人物は、蘭のよく知っている人物だった。仲間だと信じていた人物だった。そして蘭はその人物が世界法医学研究所をずっと裏切っていたのだとわかる。

銃口が向けられる。蘭の体は何故かもう動かなかった。右胸を撃ち抜かれ、蘭の体は赤く染まっていく。

蘭の瞳から涙がこぼれ落ちる。そして、目の前が暗闇に包まれた。
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