プラチナー1st-
業後は案の定、和久田に待ち伏せされて、逃げ出すことは叶わなかった。上機嫌で紗子を連れて歩く和久田の後姿を、しみじみ観察する。癖毛の紗子とは違ったさらさらのやわらかそうな髪の毛。後姿を見ると、意外とスーツがパツパツで身体がしっかりしてることが分かる。トレーニングとかしてるのかな。あんまりそういう話は聞かないけど。
どうして和久田は紗子なんかを相手にしてるんだろう。和久田だったらもっと選べるはずなのに。それこそ涌沢のようなかわいい子だって付き合ってほしいって思ってるんだから、そっちに行けばいいのに。
そんなことを考えていたら和久田が振り向いたので、思わず立ち止まった。
「松下、赤ちょうちん駄目ってことなかったよな? おやっさん、二人なんだけど」
言葉の後半は店の主人に向かって。どうぞー、と言われた店内に仕方なく暖簾をくぐって入った。
席に着いて和久田がジャケットを脱いで寛ぐと、取り敢えずビールとウーロン茶で乾杯。何に対してなのかは分からないけど、まあ仕事を終えれば乾杯だ。和久田がビールを気持ちいいくらい飲み干していく。紗子はウーロン茶にちびりと口を付けた。
そしてやっぱり観察する。この人も顔の造作が整ってるよなあ。浜嶋と同じく鼻筋は通っているし、目もすうっと切れ長で涼しげだ。頬から顎にかけてのラインがシャープで彫像のよう。浜嶋はセクシーな印象を受けるが、和久田は正統派の王子と言った雰囲気だ。浜嶋と違って女子社員に甘いことを言わないので浜嶋の人気にかすんでしまっているが、和久田もかなり女子社員にモテている。そんな人が何故紗子なんかを良いと思ったのだろう。
もうジョッキの半分くらいビールがなくなっている和久田に尋ねる。
「聞いて良い?」