死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

夜の部室はあの世とこの世の入口のような、異様な雰囲気を醸し出していた。


男子更衣室へ入った瞬間、ユキオさんの泣き声が聞こえてくる。


梓たちと接触したことが原因なのか、その声は霊感のない生徒にまで聞こえてくるようになっていた。


お陰で、「気持ちが悪い」と言いだした男子部員が鍵を開けたまま帰ってしまったので、こちらとしては好都合だった。


「ユキオさん。今日、ミヨさんに会ってきました」


厚彦が窓辺へ向けて話かける。


その瞬間、泣き声がピタリと止まった。


今ユキオさんはどんな表情をしているだろうか。


「梓、お守りを」


厚彦に言われ、梓は頷いて一歩前に踏み出した。


冷気がグッと強くなり、吐く息が白くなる。


「これです」


冷気がする方へとお守りを差し出すと、それはフワリと宙へ浮かんだ。


ユキオさんが手に取ったのだ。
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