死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「やっぱり、イジメが原因なのかな」


梓はショコレートをひとかけら口に放って言う。


「そうだと思う」


玲子は黒く塗られたノートや教科書を思い出し、キュッと唇を引き結んだ。


もしも玲子があんなことをされていたとしたら?


そう考えると、梓もやるせない気分になった。


自分がもっと早くに気がついてあげることができていればと、後悔するかもしれない。


梓は玲子の手を握り締めた。


「マミちゃんはあまり学校へ来ていなかったんだから、気がつかなくても仕方ないよ」


なんの慰めにもならないかもしれないが、玲子は無言で頷いた。


「それにしても、あれはひどい状態だったな。死んで間もないのに友達の判別もつかないなんてなぁ」


さっきから机の周辺をふよふよと飛んでいた厚彦が呟いた。


「そうだよね。あのままあそこにいたら、マミちゃんはどうなるの?」


「たぶん、悪霊ってヤツになるんじゃないかな」


厚彦は難しい顔をしている。


実際に悪霊を見たことはないし、厚彦もほとんど新米幽霊なのでちゃんとしたことはわからないみたいだ。
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