死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
覚悟を決めて、厚彦を見つめる。


どうにかほほ笑むことができた。


「返事は?」


梓はコクンと頷いて大きく息を吸い込んだ。


11時55分。


「あたしは……厚彦のことが好き」


声が震えた。


こんなことを口にする日がくるなんて思っていなかった。


厚彦が嬉しそうに笑って梓の体を抱きしめた。


それは今までにないくらい、強い力だった。


まるで、もう二度と梓を離さないと言われている気がして、胸がときめいだ。


でも、それも束の間のことだった。


厚彦は梓から体を離すと立ち上がった。


その体はすでに光に包まれている。
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