死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
娘が死んでもずっとここに住み続け、制服が変わったことも知っている。


ということは、娘のことを今でもずっと思い続けているということなんだろう。


そう思うと、胸がズキンッと痛んだ。


この人からカナさんのことを聞き出すなんて到底無理だと思えた。


自分にはそんな度胸はない。


人の心をえぐってしまうかもしれないんだから……。


「よかったら、今の北中高校がどうなったのか、ゆっくり聞かせてくれない?」


不意に女性からそう提案されて、梓は言葉に詰まった。


「ぜひ、お願いします!」


厚彦が隣で言うが、もちろん女性に声は届かない。


代わりに厚彦が梓の背中を叩いた。


その衝撃でハッと我にかえる。


「わ、わかりました。よろしくお願いします」


梓はそう言い、女性に促されてアパートの部屋へと足を踏み入れたのだった。
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