可愛い腹黒後輩の溺愛が甘い。

可愛くない後輩と、ヤンデレ

 昨日は、暴走族に絡まれたけどなんだかんだ言って抱きしめてもらえたから結果オーライって感じ。

「あっ、こないだの」

「わ〜!ぶつかってきた子だ〜!」

 それっぽく雰囲気を出して1年に近寄る。

「この間はすみませんでした!」

「も〜根に持たないで〜」

「ありがとうございます〜!!」

「鈴くん〜……!」

「結乃っ!」

 休み時間、結乃のところに行こうとしてたら結乃の方から来てくれたらしい。

 正直見られたことは嫌だけど、結乃から来てくれたことはとても嬉しい。

「この子は?」

「あ!一年C組木原冬人ですっ……!」

「わ〜!よろしく〜!!」

「私は三年C組の小河結乃でしゅっ……!!あっ……」

「ぷぷっ、可愛い結乃」

「っぅ……見なかったことにしてください……」

 見なかったこと……。

 おい、いまの木原見てたよな?

「木原くん、いまの見てたかな?」

「あ、はいっ!!可愛かったでしゅよね!あっ……」

「ふ、冬人くんっ……!!仲間だっ!!」

「えへへ、嬉しいです!」

 体の中がドス黒い感情で埋まりつくしてしまいそうな中、周りがザワザワとしていることに気がついた。

「きゃー!!癒し三人!!」

「天使〜……!!」

 はぁ……まだ女でよかった。

 そう思い、「はぁ……」と結乃にバレないようにため息をついた。

「あ、あの、結乃先輩、連絡先交換しませんかっ?」

「あ!いいよ!」

 な、なに勝手に連絡先交換しようとしてんだよ!!

 ああやばい、醜い独占欲が増している……。

「ふふっ、アイコン可愛いね」

「ありがとうございます!」

「ねぇねぇ君、これ僕の彼女だから」

「こ、これ!?」

 これと言ったのはわざとだ。

 結乃の可愛い反応を見る為の。

「え!そうだったんですか!残念……こんなに可愛いのに……」

「へっ?」

「……結乃、この子バカだね!バカが移る前にどっか行こう?」

「え……?でも、せっかく仲良くなれたし……」

「僕も、結乃先輩ともっとお喋りしたいですっ……!!」

「ごめんね、後輩くん、僕達用事があるんだよね」

「えっ……?今日、なにか約束してた……?」

「っ」

 あーもうバラバラと色々言いやがって……俺の気持ちも考えてよ……。

「やっぱいいよ、バイバイ結乃」

「えっ……?ちょっと待って……!!鈴くん!!」

 結乃の声なんて無視して、水月のところへ行った。

「水月、ってことなんだ、どうすればいい?」

「それは一方的にお前が悪いだろ……」
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