Romantic Mistake!



* * *


十二時間後ーー。

「そ、そ、そ、颯介さん、ちょっと待って、もう無理です」

午後八時。私はヘリポートがあるベリーヒルズの屋上に降り立ち、プルプルと震えながら彼にしがみついていた。まだ足もとがフラフラとし、興奮が冷めない。

「どうしたの? 大丈夫?」

大丈夫じゃない。朝出発してから日が落ちて星が出ている今の時間まで、もう私のキャパシティを越えた怒涛のラグジュアリー攻めをされ続けたのだ。

住み慣れた東京観光のはずなのに、食事はすべて高級レストラン。移動はリムジン、どこへ行っても案内されるのはVIPルーム。とにかくすべてが普通じゃない。

そして極めつけは、夜景が見たいというリクエストをするとヘリコプターに乗せられ、空の上からぐるっと東京を一周した。今やっと、「じゃあ今夜はこのまま戻ろうか」となんとヘリを足にしてベリーヒルズへ戻ってきたところ。頭がついていかないくらい、驚きの連続。

でも、こんなワクワクするデートは初めてだったから、めちゃくちゃ楽しかった……! とびきりスペシャルな一日にしてもらえて、北海道へ行けなかったことには未練が残っていない。

支えてもらいながら、屋上からひとつ階を下りた展望台へと向かう。たぶん、ここが今夜のラストだろう。
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