アオハルの続きは、大人のキスから
自分の唇に触れ、味わった甘美な唇を思い出す。身体の奥から彼女がほしいと渇愛しているのがわかる。
久遠はその場にあぐらをかき、白無垢を見つめ直す。
小鈴とは、京都の大学にいたときにバイト先で知り合った。年下のかわいい女の子。そんなふうに、最初こそは妹のようにかわいがっていた。
だが、一緒に過ごす時間が増えると、彼女に魅了されていく自分に気がつくことになる。
小柄でかわいらしい容姿の小鈴は、一見守ってあげたいと思わせるような女の子だ。
だが、意思の強さ。頭のよさ。そして、温かく包み込むような心の持ち主であることに気がつき、そこから恋に落ちるのはすぐだった。
順調に交際をしていた二人。だが、久遠が大学二年生、小鈴が高校三年の秋。運命の歯車がお互いの意思とは逆方向へと回り出してしまう。
いきなり小鈴に別れ話を切り出されたのだ。青天の霹靂とはこういうことを言うのかと、自身が体験して身に染みた。
何度理由を聞いても「ただ、別れてほしい」の一点張り。逃げるように彼女は久遠の前から去って行ってしまった。
あとで彼女のたった一人の母親が亡くなったと聞き、小鈴を労ってやれなかった自分を悔やんだ。
その後、彼女の友人から、小鈴は叔父に引き取られて引っ越したことだけは聞いた。
慌てて小鈴に連絡を入れようとしたのだが、どうやら着信拒否をされて連絡することができず恋は儚く散ってしまったのだ。
そのあとはというと、半身を抉られたように自分が自分ではなくなってしまった。
それほど小鈴の存在は、久遠にとってなくてはならない大切な存在だった。それを後々嫌でも認識させられることになる。
燻り続ける小鈴への思いを昇華することもできず、かといって彼女を恨むこともできなかった。