キス、涙々。


「ああん」

「ひっ、唐突にそんな声……!とにかく、だ、だ、だめなものはだめですから……!」



キャットファイトとはこのことか。


正攻法じゃだめだとわかったらしい、色仕掛け多めに攻められる。


わたしの劣勢だ。



「えーでも顔真っ赤だよ?八尾さんかわいー」

「だってその、む、胸があたって……!」

「あててんのよ。ど?なかなかいいもん持ってるでしょ」


「う、うう……まあ」

「まあ、だって!かわいい。あたしあなたにハマりそう」

「ひえ……」



あの日、以来。


────文化祭の日以来、わたしに対する嫌悪は前よりもずっとマシになった。


もしかしたら、わたしがあまり気にしないようになったこともあるかもしれない。


びくびくしていた風紀委員の仕事も、堂々と受け答えするようになったことでちゃんと違反を違反だと認めてくれる人も増えたように思う。


クラスメイトの何人かとは、たまにだけど雑談をできるまでになった。


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