箱崎桃にはヒミツがある




 箱崎桃の朝は、強制的にアサイーボウルからはじまる。

 もはや、飲み物ですらない。

 いや、一応、アサイーと豆乳のスムージーではあるのだが。

 上にグラノーラやフルーツがたっぷり載っているので、飲み物という感じはない。

 アサイーボウルを平らげたあと、スタートは出遅れたが、あとは真面目にルーティンをこなし、ジムにも行った。

 桃はランニングマシンで走りながら、ガラス窓から外を通る人々を眺める。

 先生通らないかな、と、つい、思ってしまっていた。

 焼肉を食べすぎたので、昼も食事は控えめにする。

 夕方、クローゼットにある昨日買ってきた服を眺めた。

 先生、これかこれが好きそうだったな、と手にとってみながら、ちょっと笑う。

 これから見合いするのに、見合い相手の好みに合わせて、服を選ぶとか。

 それから、夕食を軽めに済ませ、お風呂にゆっくり浸かって、早めに寝ることにした。

 ……なにかオーディションやショーの前より気合が入ってるような、
と自分で思う。




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