極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「はーい。優は百人くらいいそうですね。ううん、星の数ほどかも」
口調も子供っぽくなったが、それよりも気になったのは彼女が俺を『優』と呼んだこと。
きっと本人は自分の失言に気づいていない。
滝川と朝井がどんな反応をするかと少し楽しんで見ていたら、ふたりは「え?」と言葉を発して梨乃の顔を凝視する。
ほろ酔い状態だった滝川と朝井だが、梨乃の発言で一気に素面に戻ったらしい。
次にふたりは説明を求めるように俺を見たが、俺は口元に笑みを称えるだけで何も言わなかった。
滝川と朝井が口に出して言わないのは、梨乃がいるからだろう。
その後梨乃の口数が減ったのが気になって彼女に声をかける。
「藤原、藤原、目が開いてないけど、眠いのか?」
「……大丈夫。……起きて……ま……す」
目を閉じて若干ふらつき気味の彼女はボソッとした声で答えるが、もう起きているのは限界のようで俺に寄りかかってきた。
身体に感じる彼女の重み。
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