極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
滝川を連れて海外企画部に戻ろうとしたら、専務に出くわした。
『やあ、北條くん、今日は社長と会食ではなかったかな?』
『まずは社長室で新車のキャンペーンの話をしておこうと思いまして』
俺の説明に専務は少し間を置いて相槌を打った。
『……そうか。社長がつい先日君が恋人と一緒にいるところを見たと言っていたんだ。かなり可愛い子らしいじゃないか。うちの会社の社員らしいし、今度彼女と一緒に食事でもどうかね?』
なんだろう。
俺がここにいてはマズいというような顔をしている。
『そうですね。都合が合えば』
この場を去ろうとする俺を彼が引き止めた。
『今、時間があれば新車のキャンペーンの話も聞かせてくれないか?』
おかしい。普段そんなことは絶対に言わないはずなのにな。
『すみません。火急の用がありまして、その件は後日改めて』
軽く頭を下げて滝川と共にオフィスに向かう。
グズグズしている暇はない。
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